あっせん申立事例

事例1パワーハラスメントによる精神的苦痛に対する慰謝料を請求
申立人申立人労働者Xさん
被申立人被申立人A株式会社
  • 1紛争の概要

    申立人は、A社に正社員として3年ほど勤務。コロナ禍により高齢の両親がいたためテレワークを希望したところ、それ自体は認められたが給与を減額された。また、テレワーク移行後から、毎日、上司に理不尽な叱責、嫌がらせを受けた。これが原因で体調に不調をきたし、現在は休職している。精神的苦痛に対する慰謝料と治療費を求め、あっせんを申し立てた。

  • 2申立人の主張

    テレワークでも、出社時と変わらず業務を遂行していた。時には、遅くまで仕事をしていたこともあるが、残業代はもらっていない。それにも関わらず、上司にテレワークだから他人よりも仕事ができていないと叱責された。また、業務に関わる情報が共有されないなどの嫌がらせもあった。復職は希望していないため、金銭的な解決を求めたい。

  • 3被申立人の主張

    テレワークではできない業務を、出社している社員が代わりにやっている。成果も求める内容に達していなかったため、他の社員の業務が進まず滞っている。他の社員が指摘をすると反発するなど、態度にも問題があった。これらのことについて申立人に面談、指導を行ったが、自己主張が強く、改善されることはなかった。パワーハラスメントの事実はないと考えているが、早期解決を望んでいるため、和解に向けた交渉の余地はある。

  • 4あっせんの結果

    あっせん委員の傾聴により、被申立人が注意、指導の中で行き過ぎた部分もあった可能性を認め、申立人の会社都合退職と、解決金の支払いを了承したことで、双方が和解に合意し、解決した。

事例2契約社員が不当な雇止めと主張したことに対し、雇止めを受け入れるよう求める
申立人申立人株式会社B
被申立人被申立人労働者Yさん
  • 1紛争の概要

    被申立人は申立人の会社(B社)にパートタイマーとして2年勤めていた。コロナ禍により業務縮小を余儀なくされたB社は、被申立人に対して契約更新ができない旨を伝え、被申立人からも同意を得たと思っていたが、後日、不当な雇止めであるとした書面が届いた。被申立人に雇止めを受け入れてもらいたいため、あっせんを申し立てた。

  • 2申立人の主張

    被申立人に契約更新ができないことを伝えた際、了承する旨の意思表示があったため、残っていた有給を買い取り、最後の給与と併せて振り込んでいる。お互いに退職に関して合意していると認識していたため、書面は取り交わしていない。経営の状況からも雇止めを撤回することはできないため、受け入れてほしい。

  • 3被申立人の主張

    契約更新に関しては、ほぼ自動的に更新されていたし、次も問題なく更新してもらえると思っていた。更新ができないといわれたときは、驚いていて受け入れられない旨の意思表示ができなかった。強引に雇止めを納得させられたと考えているため、撤回してもらいたい。

  • 4あっせんの結果

    あっせん委員の説得により、被申立人側から金銭での解決で雇止めを受け入れる旨の意向が示されたことから、申立人が退職日について合意できるのであれば解決金を支払うとし、金額について調整した結果、双方が和解に合意し、解決した。

事例3過重な労働量・責任によって精神疾患を発症したことで退職に至ったことに対して慰謝料を請求
申立人申立人労働者Zさん
被申立人被申立人株式会社C
  • 1紛争の概要

    申立人は1年前、C社に正社員として雇用された。入社後、十分な引継ぎがなされず、また、増加する業務量に対して社員の増員がなされなかったため、長時間の残業等も相まって体調を崩し、休職することとなった。その後、休職期間満了に伴い退職となったが、就業が困難な状態が続いているため、再就職も叶わないことから慰謝料を求め、あっせんを申し立てた。

  • 2申立人の主張

    入社した時点で前任者がすでに退職しており、引継ぎは一切なされなかった。マニュアル等もなく、過去の業務内容を確認しながら一人で業務を行っていた。もともと長時間労働になっていたうえに、さらに業務量が増加したため、会社に増員をお願いしたが聞き入れてもらえなかった。過重な労働量と責任を負わされたことによって精神疾患を発症し、働けなくなったため退職。現在も症状は改善されていない。いつ働けるようになるかわからない状態にまで追い込まれた原因に対して慰謝料を請求したい。

  • 3被申立人の主張

    労働量が過重であったとは考えておらず、他の従業員と同程度であったと認識している。増員についても、申立人の意向に沿って採用したが、そりが合わないなどの理由によって申立人が自ら増員を拒否している。今回は申立人の労働時間が長時間にわたっていることを把握していたにも関わらず、対策を取らなかったことについては会社に非があると考えているため、見舞金を支払う用意があり、和解したい。

  • 4あっせんの結果

    あっせん委員が被申立人から提示された金額を申立人に伝えたうえで、金銭面その他の条件をすり合わせた結果、双方が和解に合意し、解決した。